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DR650SE

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唯一無二の空冷ビッグオフ トレール車


DR650SEとは

DR650S スズキが製造・販売する(していた、ではない!)トレールバイク(マルチパーパスバイクとも言う)、いわゆるオフ車。
冠名の「DR」は、スズキの公道用オフロード向けモデルに代々与えられてきた名前。
その名前が示す通り、オフ車としては最大級に大きな空冷650ccの排気量をもつビッグシングル車。
基本設計・初期型の発売が1996年であり、欧州ではユーロ3が導入された2000年代に姿を消したものの、北米・オーストラリア・中東などを中心に、2023年まで新車販売されていた超ロングセラー。2024年でも中東や北米の一部ではまだ新車が買える(買いたい・・・)
空冷で作りがシンプルなため、650ccも排気量があるのに、乾燥重量は147kgしかない。オフ車としてはだいぶ重いかもしれないが、昨今流行りのビッグオフ・ビッグアドベンチャーと呼ばれるモデルたちと比べると、50~100㎏近く軽い。もはや別の乗り物。
1996年からカラーバリエーション以外の仕様はほぼ変更されていない。
したがって、トラコンや電子制御サスなどあるはずもなく、ABSもないどころか、そもそもキャブ車。

日本では正式発売されたことはなく、排ガス規制強化される2008年までにわずかな台数が今は無きモトマップによって逆輸入されていた。
いわゆる、レア車。
現在の日本で手に入れることはかなり難しい。中古車市場に出回ることはほとんどなく、ヤフオクなどの個人売買で辛うじて年に数台出るかどうか。。。。

現在でも新車が売られているため、当然ながら部品も潤沢に生産されている。そのうえ、スズキは海外向けモデルの部品も日本国内で普通に買うことができる(逆に、Hondaは海外向けモデルの部品は買えない)。したがって、部品供給には全く不安が無い。

装備重量でも160kg程度のDR650SE。現代ではもう、こんなに軽量なビッグオフは手に入らない。
国内大型勢では最もオフ寄りのヤマハ・テネレ700でも車両重量205kg、Honda XL750 TRANSALPが208kg、軽量級でもこれくらい。アフリカツイン、BMW R1200GS、彼らは240㎏以上。違う世界線を生きている乗り物。(KTM690とハスクバーナ701は別枠なので除外。。。)

インプレッション

エンジン・キャブ(パワーデリバリー)

空冷649cc SOHC 2バルブのビッグシングル。
650というと、ロードスポーツとして考えると大したことないミドル排気量に感じるが、147kgしかない軽量なオフ車の車体には十分すぎるパワー。
低めの圧縮比(9.5)、ボア径が100㎜もあるためか、良くも悪くも燃焼は緩慢な印象を受ける。
そして負圧式キャブとの組み合わせによって、開け口のパワーの出方が非常に穏やか。低回転・低開度から非常に扱いやすい。コーナーの立ち上がりや、林道でそこそこラフにスロットルを開けても不安を感じることはない。しかし、そうはいっても650cc。一度パワーが立ち上がると、強力なトルクでグイグイと車体を前に進めてくれる。
微開領域で非常に開けやすい特性と余りあるパワーのおかげで、ダート路面でのパワースライドは自由自在。なんの恐怖感もなく、滑らせたいときに滑らせ、食わせたいときに食わせられる。このバイクの魅力の神髄は、この緩慢な燃焼のビッグシングルエンジンにあると思う。

初めて乗った時の加速感の感想は、「羽が生えて飛んで進んでいくように感じる」だった。

タコメーターがついていないので、回転数はよくわからないが、高回転で盛り上がるようなことはない。低~中回転でのトルク感を楽しむ性格のエンジン。上まで回さなくても十二分に速いので、高回転の盛り上がりなど不要である。

DR650SE車体拡大

ミッション・駆動系

ミッションは一般的な5速リターン。ギアレシオの配分、シフトフィーリング・節度感、などなど、特にこれといって主張してくる部分は感じない。いい意味で普通。
ファイナルは、ノーマルだとかなりロングで、60km/hでもギクシャクして5速で巡行しにくい。ドリブンを44Tくらいまで大きくしてやると、バランスが取れる気がする。

サスペンション・フレーム

フレームは、普通のペースでちょいガレ林道を走る程度の範囲ならば、十分に剛性がある感じ。
それ以上の領域になるとよくわかりません。腕もないし、そんなペースで飛ばすバイクでもないし。
サスペンションも同様。エンデューロではなく、トレール車なので、柔らか目で林道でも突き上げ少なく、快適にいなしてくれる。これといって不満は感じない。

見た目

いわゆる、スズキっぽい、DRっぽい見た目。とりあえず、かっこよくは無い。はっきり言ってしまうと、ダサい。笑
それがなんともいえず、いいのだが。
一度ハマると、愛着しか感じないこの見た目。そしてかっこよくないだけに、ライダー自信もなにも張り切る必要を感じない。とても楽。
若いころは、もっと尖っていたり、今風のかっこよさだったり、そういう部分にあこがれた時期もあったけれど、歳を重ねるごとに、だんだんとこういう古めのデザインが好きになってくる。なんなんだろうね、この感覚は笑

主なカスタム

DR650SE カスタム
項目内容メーカー
ヘッドライトまわりラリーキットARX
リアサスペンション別筒式フルアジャスタブルWP
ホイールリム オレンジアルマイト加工ワンオフ
テールライトLED球汎用
前後ウインカーLED小型タイプ中華
その他いろんなところをいっぱいいじってます

仕様

項目内容
全長 (mm)2255
全幅 (mm)865
全高 (mm)1195
ホイールベース (mm)1490
最低地上高(mm)265
シート高 (mm)885
乾燥重量 (kg)147
最小回転半径(m)2.5
乗車定員(名)2
原動機種類4ストローク
気筒数1
シリンダ配列単気筒
冷却方式空冷
排気量 (cc)644
カム・バルブ駆動方式OHC(SOHC)
気筒あたりバルブ数2
内径(シリンダーボア)(mm)100
行程(ピストンストローク)(mm)82
圧縮比(:1)9.5
最高出力(kW)31.6
最高出力回転数(rpm)6400
燃料供給方式キャブレター
燃料供給装置形式BST40
燃料タンク容量 (L)13
燃料タンク・リザーブ容量 (L)3
エンジン始動方式セルフスターター式
点火装置CDI式
点火プラグ標準搭載・型式CR10E
搭載バッテリー・型式YTX9-BS
バッテリー容量12V 28.8kC(8Ah)/10HR
エンジン潤滑方式ウェットサンプ式
エンジンオイル容量※全容量 (L)2.6
エンジンオイル量(オイル交換時) (L)2.3
エンジンオイル量(フィルタ交換時) (L)2.4
クラッチ形式湿式・多板
変速機形式リターン式・5段変速
1次減速比2.178
変速比1速 2.733/2速 2.415/3速 1.625/4速 1.238/5速 1.000
動力伝達方式チェーン
スプロケット歯数・前15
スプロケット歯数・後41
チェーンサイズ525
標準チェーンリンク数110
キャスター角28゚ 30'
トレール量 (mm)111
ブレーキ形式(前)油圧式ディスク
ブレーキ形式(後)油圧式ディスク
懸架方式(前)テレスコピックフォーク
フロントフォークタイプ正立フォーク
フロントサスペンションストローク(mm)260
懸架方式(後)スイングアーム式
リアホイールトラベル(mm)260
タイヤ(前)90/90-21
タイヤ(前)タイプチューブタイヤ
タイヤ(後)120/90-17
タイヤ(後)タイプチューブタイヤ